昭和59年04月19日 衆議院 決算委員会

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政府委員(法務省入国管理局長) 田中常雄
外国人登録法の目的は、在留外国人の身分関係、居住関係を明らかにし、そして公正な管理を行うということになっておりますが、この身分関係、居住関係を明らかにするためには、外国人の同一人性を確認する必要があるわけでございます。その同一人性を確認するためには、指紋が持っている万人不同という特性を使う必要があったからこれをやっているわけでございます。

また、指紋制度を採用しているのは、世界において我が国だけではございませんでして、世界に約33カ国ございます。そして、そのいずれの国においても指紋が人権違反であるという声は起きていないと聞いております。

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公明党 近江巳記夫
この押捺制度というのを実施し出したのは、朝鮮戦争の後、韓国等からの密入国者がふえてきた、しかも、写真を張りかえるなど登録証明書を偽造する、不正使用する、そういうケースが頻発したのが理由であるということを聞いておるわけです。

しかし、密入国者も現在非常に減少しておるわけで、また同一人性確認の方法がいろいろ開発されていると思うのです。例えば現在の自動車の運転免許証にしても、写真を、何というのですか型で押さえてはがれないようにしておるとか、写真の方も非常によくなっておりますし、時代の進展とともにいろいろなことが開発をされてきておるわけですね。いつまでもそういう制度に、これだけ人権問題にも絡んでおる制度でございますし、それに固執するということはどうかと私は思うのですね。ですから、かたくなにそういう指紋押捺の義務を課し続ける必要があるかどうか、非常に大きな疑問を感じるわけなんですよ。ですから、そういう点で、その同一人性の確認ということであるならもっと科学的にいい方法がないかということを考えてないのですか、これだけ問題になっておるのに。それはいかがですか、大臣。