昭和50年02月25日 衆議院 予算委員会第一分科会

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公明党 鬼木勝利
それから、最後に大臣に総合的にちょっと私、お願いがあるのですが、これは単に外国人タレントの入国者のみならず、これは正式なビザを持って入国をする方は別でございますが、そういうもぐりの方の問題をきょう私、取り上げたわけですが、これは全体の一般密航者ですが、承るところによりますと、現在推定で10万人ある。これは流動しているのではなくして、現在日本に在留しておる密航者が10万人ぐらいあるのだというお話を承っておる。

私は九州ですが、長崎に大村収容所がございまして、今度新たに建てかわっておりますが、聞くところによりますと300人ばかり収容ができる。そうすると、現在日本に密航在留者が10万人もおるとすると、これはもう暗黙のうちに10万人は定着したようになっているのじゃないか。

何でも年に2回ほど送還の船が出る。年に2回船を出したからといっても、10万人の密航者ということになれば、これをもっと厳しく取り締まって、年に5回も10回も船を出して送還でもするというようなことにしなければならない。しかし、長崎の収容所には300人しか入れられませんから、入れるところがないから、送還をさせないで、そのままに10万人定着させてほったらかしているのか。これを年に5回も10回も手をつければ入れるところがない、船は年に2回しか出していない、そういうことで黙認して、10万人ということがみすみすわかっておりながら、むろん推定でございますけれども、放任してあるのか。

こういうことになりますと、先ほどのはそういうよからぬのがやってきて、バンドマンも困ったというようなことの陳情を私、受けたということを申し上げた。ところが、現在日本に10万人からの密航者があるということになりますと、これは大半労働者と思いますが、そうすると、やはり日本の労働者をこれは非常に圧迫する。

向こうは低賃金でございます。彼らは労働を目的としていますから、体も非常に強いし、仕事もできます。それを低賃金で雇用する。そうすると、やはり日本人の労働者を圧迫する。

これらはおおむね労働者と思います。ほかにもたくさんおると思いますし、いろいろな各種の職業の方がおられると思うが、大体労働者と思う。そうしますと、やはり日本の労働者を非常に圧迫するということになる。

そういう点におきまして、これは大臣にお願いですけれども、何らかの方法でこの密航者はやはり私は整理すべきだ、かように考えますが、その点、大臣のお考えはいかがでございますか、ちょっと承りたい。

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法務大臣 稻葉修
法務大臣就任早々、各局の所管事項の説明を承りました際に、入国管理局長の説明の中にもそういうことがございまして、先生御指摘のとおり、相当な人数の密入国者が在留していることは、労働移民を黙認しているようなものでございまして、わが国労働市場を圧迫することは当然でございますから、鋭意こういう点についての改善を、入国管理当局によく改善策を講ずるように、先生の御指摘のようなことに対応して体制を整えるようにということを申している段階でございます。なるべく早く先生の御指摘のような弊害が除去されるように、一生懸命にやりたいと思っております。