昭和30年03月31日 参議院 法務委員会

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法務大臣 花村四郎
大村収容所に収容中の者は3月28日現在で1287名に相なっております。その大部分は密入国者、あるいはまたその他わが国で麻薬の罪を犯し、あるいはまた強盗、窃盗等の常習者等の悪質な犯罪の前歴を有する者でありまして、これらの人々を収容いたしておるのでございます。その収容に関する法的の根拠は、出入国管理令に基き、それぞれの本国へ強制送還をするために一時収容所に収容をいたしておるのであります。韓国は従来これらの強制送還者を引き取っておったのでございまするけれども、昨年7月、一方的に引き取りを拒んで参りましたために、その後収容者がだんだん増加いたしまして、一時は1500名余りを突破することに至ったのでありまするが、本年の初めからしばしばわが方と、そうして朝鮮の日本におりまする出先官憲との間に折衝を行いました結果、最近に至りまして密入国者の引取りを再びまた始めるという話し合いになりまして、そうして2月の28日には208名を引き取ってもらったのであります。そうしてさらに、3月29日に249名を引き取ってもらいました。

以上のような経過で、相手国の引取りがおくれているために、収容期間が長引いたりいたしておる人もありまするが、これは向うの引取りが意のままにいかなかったというような事情が伴っておるのでありまして、真にやむを得ない現象であると申さなければならぬのでありまするけれども、政府といたしましては、極力韓国政府との折衝によりまして、早期送還の実現に努力をいたしておりまするのみならず、また国内において一時仮放免をすることの適当な者に対しては、それぞれの処置をいたしておるような次第でございます。