昭和21年09月02日 貴族院 予算委員会

[102]
無所属倶楽部(会派) 山田三良(帝国学士院会員議員)
然るに私共の見る所に依りますと云うと、朝鮮人、台湾人等は自分が都合が好い時には朝鮮人であり、台湾人であると言いまして、都合が悪い時には日本人であり、日本人として留まって居る、斯う云うことを申しますから、甚だ以て始末の悪いことになります、

本国に帰還をすることを意思を明かにして、既に一応帰りました者の中に、更に又内地に戻って来る者も少くないと聞いて居ります、是は色々な原因からそうなると思うのでありまして、例えば内地に居ると言えば、他日、本国に帰った時は、是は本国人になる意思が無いものとして虐待せられる、斯う云ふ者もありましょうし今、本国に急いて帰ったけれども、何等職業を得られないから、又我が国に来て職を得たい、斯う云う両立しない彼等の多くの者は「ディレムマ」に陥って居るのだろうと思う、其の結果、本国に帰った者が密かに我が国に潜入する、そう云う者も少くないと聞いて居ります、そうすると我が内地の彼等に対する警察は、非常に厄介になりまして、なかなか容易ならぬことであると思はれます、



[103]
内務大臣 大村清一
それから尚、それに附加えまして、御尋もあったことでありまするが、朝鮮内の事情は良しくありませぬ、殊に内地に生活を致して居りました者では、日本の状態に憧れまして、非常な密入国に対しましての強い動きがございます、今日に於きましては、西日本の各府県の沿岸に亘りまして、有らゆる手段に依って、生命の危険を冒して続々密入国をして来て居ると云うような情勢であります、

本年の4月に於きましては、統計に上りましたものが、密入国者557人、5月に於きましては1534人、6月は少し下りまして1280人、7月に至りますと、実に8934人と云うような密入国者の統計数字があるのであります、此の中で凡そ1割乃至2割は逃亡を致して居りまして、密入国の時に之を捕える訳に至って居ないのであります、

それから尚、是は統計に現れた数字でございまして、夜陰密かに入国致します場合に於きましては、此の統計数字に入らないものも何がしかあることを予想しなければならぬのでありまして、今日の状態に於きましては、月々凡そ1万人位は密入国者があるのではないかと云うように想像が出来るのであります、

(中略)

尚曩(さき)に申上げました密入国者でありますが、密入国者が日本に潜入致しまして、逮捕せらるるに至らず、潜入致しました者は、全く是は潜入でございまして、彼等が生活する為には闇の生活をやらざるを得ないのであります、そうして此の食糧の配給も受けず、一般物資の配給にも均霑(きんてん)しない彼等でありますので、闇の生活以外に生活方法がないと云う所に、誠に憂慮すべき点があるのであります、

而して是が治安面に現れた所を申しましても、例えば潜入府県からずっと離れて居ります長野県の如きに於きまして、兇悪なる集団強盗がある、之を詮索して捕えて見ますと、全く密入国者が共謀致しまして、極めて兇悪なる強盗をやって居ると云うような事例が最近にもあるのであります、

外にもそう云う2、3の事例が挙って居るのでありまして、是で御想像願えますように、密入国者に付きましては、警察面に於きまして、余程是は徹底したる取締りを致さなければ、我が国の社会治安、国民生活の攪乱と云う禍因がそこにあることを深く見透さなければならぬと云うような状態にあるのであります、